軽井沢にて その6 – ロマンチック街道で孤高の芸術家に出会う

何度も書いているが、”写真の師匠と弟子”といっても、同行している間に特にウンチクを教わるわけではない。
やたらにくどくどと説明を受ける事もないし、こちらも手取り足取り教わりたいとも思っていない。実にクールな大人のカンケイなのである。もちろん何か質問すれば丁寧に答えてはいただけるが、それは必要最低限にしている。
それでは、一緒に行動して一体何が楽しみなのかというと、自分は自分で勝手気ままに撮りつつ、実は師匠の行動をつぶさに観察しているのである。どんなものをどんな位置から、どんな体勢と角度で撮っているのかを。
後ろをついていきながら、ほとんど目を離さない”ストーカー”状態。(;`ー´)
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短時間で”ちゃちゃっ”と、良い画を撮るのは本当にムズカシイ。
これだって、背景を整理すなわち適当にぼかしていればずっと良い画になったはずだが、機転が利かなかった。
K師匠は、フツーのカメラ好きのように、四六時中何にでもカメラを向けてひたすらシャッター押しまくりというタイプではなく、獲物を見つけたらおもむろに構えて数枚撮るだけというスタイル。
それでいて、失敗写真はほとんどないばかりか、見事な”作品”を描いてしまうという凄腕です。
ま、そんなわけで、一言で表わすと”天才肌”の人なので、そんな人物に対して「技術や知識を教わるのが目的」などというスタンスでは到底その世界には近づけないのであります。と思っているのだが。( ´ー`)
さて。そそくさと軽井沢を後にして、”白糸の滝”を目指すが、そこは観光客のメッカ。好天の土曜日なら当然といふべきか、満車状態の駐車場の周辺に人々がごった返しているのを横目に即決スルー。
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オープンカーの”ぷーちゃん号”でののんびりと進み、臆面もなく名付けられた”日本ロマンチック街道”を北上する事しばし。おそらく師匠には絶対に撮れないであろう、オープン走行中の空の写真も撮ってみた。
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着いたのが、浅間山を一望するここ「六里ヶ原休憩所」。
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ここで出会ったのが、自然な笑顔がとてもさわやかな好青年。いや、声をかけたのは師匠なのですが・・・
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お話を伺っていると、何と、この浅間山の絶景を描くためにこのテラス沿いの部屋を借りきっているそうです。
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個展を開いているという事で、パンフレットもいただきました。いや、中々すごいアーティストです。
内容をここで見せる事は出来ない(師匠がもらったため)のですが、どうみても写真にしか見えないが、しかし現実にはあり得ないという世界を表現しておられます。お名前は「水野 暁」さんでHPはこちら
とりあえず、新進気鋭の、未来の巨匠としておこうか。
やっぱり芸術家の世界は次元が違います。
一見自分がテキトーに撮っているのとそれほど変わらないような一枚の絵に”年”単位の気の遠くなるような時間と、精魂込めたエネルギーを注ぎ込まれるそうです。もちろんその成果は段違い。
「これ!」と決めた対象物を作品に消化させるには、「この前撮ったこの写真はもう飽きた」などという気まぐれは許されない世界なのです。
ここで描かれているものも、デッサンに過ぎず、完成まで数年がかりになるだろうというお話。
でも、とても気さくで明るくて、いわゆる”アーティスト”って雰囲気はまるでなく、心が癒されるほどでした。
いやはや、こんな方とお話をしていると、こちらの言葉遣いまで変わってしまいます。( ´ー`)
いや~、何だか今回のツァーの最大の成果はこれだったかも・・・
一心不乱にキャンバスに向かっている姿に、自分だけだったら気軽に声をかける事はしなかったかもしれない。
ここでも師匠にはアタマが上がりませんわ。

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