デュアルのレコードプレイヤーは世界一

自分にとって、デュアル社は世界最高のレコードプレイヤー製造会社であった。
その理由は、レコード再生機として(たぶん)唯一の完璧な機能を有していたからである。デュアルは、オーディオ機器としてのクォリティをまったく犠牲にせず、気軽にレコードをかける事が出来る装置を提供した唯一の存在なのである。
レコード再生に関して、一般庶民にも何とか手の届くリーズナブルな価格で、ユーザーのみが享受出来る安楽な世界を提供してくれる最高に素晴らしいツール、それがデュアルのレコードプレイヤー。
Golden 1 の復活2
さて。アナログLPレコードをかけるというのは、まったくやっかいな儀式である。
マニュアルプレイヤーだと、こうなる。

作業手順
1 棚からレコードジャケットを取り出す(ジャケットカバーがあれば取り外す)
2 内袋から慎重にレコード盤を取り出す
3 盤面に手垢が付かないよう慎重に持ちつつターンテーブル上に移動
4 スピンドルと盤の中心ホールをぴったり合わせて静かに垂直にターンテーブルに載せる
5 ほこりなど異物を発見したら慎重に除去してから、ターンテーブルの回転をスタート
6 アンプのボリュームを小さくする。またはミュートする。
7 アームリフターをUPにしてトーンアームを盤の最外周に移動
8 アームリフターをDOWNにして、針が正確にガイド溝に降りるかどうか監視
9 針がガイド溝に入った事を確認してからアンプのボリュームを上げる
10 ようやく再生開始
11 プレイヤーは振動に弱いため、レコード演奏中は部屋内を移動せずじっとしているようにする
12 再生が終了し、針が最内周部に移動するまでにアンプのボリュームを下げる。またはミュートする
13 アームリフターをUPにしてトーンアームをアームレストに戻す
14 ターンテーブルの回転を停止させる
15 レコード盤を慎重に取り出し、反転または内袋に収納する

ひぇ~。自分でも書いててイヤになって来た。
毎回毎回こんな事やってたのね・・・何かなら何まで「慎重に」しないといけないし。(´д`)
しかも、これらの手順以外にレコード盤の宿命であるホコリ除去という難作業も待ち受けているのだね~。
レコードをかけるって、こんなにも大変な作業であるから、たとえお気軽なポップスであっても、音楽を聴くのは、そりゃあ真剣さ。その事の善し悪しは別問題ではあるが。
そして、20分程度の再生が終わればまた同じ事の繰り返し・・・
しかし、ここまで丁寧に扱えばレコードはまったく傷まないのである。レコード盤は、再生する度に傷んで寿命が縮まっていくイメージがあるが、実際には半永久的と断定しても過言ではないといえるほどの寿命があるのである。
普通のフルオートプレイヤーであれば、7・8・13・14の手間が省けるが。劇的にラクになったとまでは云えない。
しかし、普通ではないデュアルのフルオートプレイヤーであれば 6.~14.までノータッチなのである。
Golden 1 はセミオートであるがトーンアームを手動で移動させる事以外はフルオートと同じ。
ピックアップカートリッジ針が音溝内をトレースしている間以外は信号出力が完全にカットされるため、アンプのボリュームを気にする必要がないのである。リモコンなど存在しなかった時代では、これが何よりありがたかった。
レコード再生で最も神経を使うのが、”針を降ろす瞬間”と”針を上げる瞬間”である。
アンプのボリュームがそのままの場合、ちょっと油断すると大音響の「ボンッ!!」という雑音が響き渡るのであるが、デュアルならこんな余分な心配は無用である。
“マイコン”も”センサー”もなかった、30年以上も前にメカニカルな機構だけでこんな機能を実現していたのだから、凄まじいまでのこだわりの技術力に感嘆せざるを得ない。

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