その日の相談は、いつものトラブル相談というより、ちょっとした「不満のこぼし話」から始まった。
「gThumbでNASの写真を見てるんだけど、サムネイル表示に時間がかかるし、終わってもマダラなんだよね。
以前、キャッシュクリアでNemoは直ったのに、gThumbには効いてない」

パラドックス氏である。うちの「よろず相談室」の準スタッフ格、と言ってもそろそろ過言ではない。マダラ、という表現に一瞬手が止まった。表示が一部だけ抜け落ちる、あの症状だ。
「gThumbも仕組みとしては同じ~/.cache/thumbnailsを使っているはずなんですけどね……」
そう答えながら、内心では「fail」フォルダに古い失敗記録が溜まっているのではないか、という筋を最有力候補に置いていた。ネットワーク越しの読み込みタイムアウトが記録として残り、再挑戦されないまま放置される――理屈としては筋が通っていた。

最初の仮説は、あっさり外れた
「fail、large、normalの中身を数えてから消しますね」というパラドックス氏の律儀な報告が届いた。
- normal:16個(17,509KB)
- large:1,224個(54.9MB)
- fail:2個(695バイト)
この数字を見て、正直なところ拍子抜けした。fail フォルダがほぼ空ということは、「失敗記録が邪魔をしている」という最初の仮説は成立しない。むしろ large フォルダには1,224個ものサムネイルが既に存在していたわけで、gThumb側の生成自体は動いていたことになる。
「ここは素直に訂正します。fail キャッシュが主原因、という読みは外れてました」
全削除・ゴミ箱空・gThumb再起動という段取りで検証してもらうと、こちらの予想通り、large フォルダの更新日時は本日付になっていた。ここまでは「見立て通り」に見えた。

ところが、話はここで終わらなかった
「他にぜんぜんダメなフォルダも多数あります。キャッシュ関係ないかもですね」
送られてきたスクリーンショットを見て、今度こそ言葉に詰まった。今までの「一部だけマダラ」ではなく、フォルダ内254枚が丸ごと全滅している。しかもこれはgThumbではなく、Nemoで直接NASフォルダを開いた画面だった。

「このフォルダ、今回が初めてですか? それとも前から開いていて毎回失敗しますか?」
「何度開いても毎回失敗する」
この一言で、話の筋が変わった。ネットワーク越しの読み込みが間に合わない、という一時的な話ではない。何度やっても同じ結果になるということは、そもそも生成の土俵に上がっていない可能性が高い。となれば疑うべきは、キャッシュではなくNemo自体の設定だった。
Nemoには「サムネイルを表示」の可否に加えて、「次のサイズより小さいファイルのみ」というファイルサイズの上限設定があることを思い出した。このフォルダの写真は1枚あたり5〜6MB。もし上限がそれより小さければ、症状にぴたりと当てはまる。
「編集→設定→プレビュータブを確認してみてください」
ビンゴだった。しかも一番間抜けな理由で
戻ってきたスクリーンショットには、こう書かれていた。
「ファイルの最大サイズ (O):1MB」
正直に言うと、これは反省すべき点だった。今回、遠回りして辿り着いたこの設定画面は、本来であれば症状の切り分けの一番最初に確認すべき場所だった。fail キャッシュだ、生成タイミングだ、と技術的な深掘りを先にしてしまい、「そもそも設定を見たか」という基本を後回しにしてしまった。パラドックス氏も「今までこの設定画面は確認してなかった。まったくノーチェック」と振り返っていたが、それはこちらも同じだったと言っていい。

1MBという上限は、今どきのデジカメ・スマホ写真にはあまりに厳しい。10MBに引き上げてもらうと、マダラは消え、描画速度もDolphin並みに速くなった。
「ひょっとして、もうドルフィンにこだわらなくて良くなったかも……」
パラドックス氏がぽつりと漏らした一言が、この日一番の伏線になった。
3箇所いじったら、また全滅した
話はまだ続く。設定画面のスクリーンショットに、赤丸で3箇所の変更メモが送られてきた。
- 「親フォルダーからサムネイルの表示可否を引き継ぐ」にチェック ※後述のようにこれは不適切だった
- ファイルの最大サイズを10MBに変更
- 「アイテム数の算出」を常時に変更

ところが直後、「スクリーンショットフォルダの状態はサムネイル全滅」という報告が届いた。
「3つ同時に変えたのが良くなかったですね。まずは①のチェックを疑ってみましょう」
複数の設定を一度に変えると、どれが効いたのか分からなくなる――これは以前の相談でも繰り返し出てきた教訓だったが、今回もまた同じ壁にぶつかった形だった。①をOFFに戻してもらうと、案の定、元通りの表示に復帰した。
「もう良くわからない余分なところは触らない」
このひとことに、今回の顛末が凝縮されている気がした。
症状・原因・対処の一覧
| 症状 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| gThumbのNAS画像がマダラ表示 | (見立て違い)fail キャッシュではなかった | large フォルダは既に生成済みと判明 |
| Nemoで特定NASフォルダが全滅・毎回再現 | プレビュー設定「ファイルの最大サイズ」が1MB | 10MBに変更 |
| 設定変更後、別フォルダが全滅 | 「親フォルダーから表示可否を引き継ぐ」をON | チェックを外して解消 |
相談員のひとりごと
今回、正直に書いておきたいことがある。最初に確認すべきだったのは、キャッシュの中身でも、fail フォルダの個数でもなく、Nemoの設定画面そのものだった。にもかかわらず、technical な深掘りを先にしてしまい、遠回りをした。パラドックス氏がスクリーンショットで「まったくノーチェックだった」と振り返っていたが、水を向けられなかったこちらの責任でもある。
もっとも、遠回りをしたからこそ、fail キャッシュの中身を数える、症状の再現性を確認する、といった切り分けの手順そのものは丁寧に踏めた。結果として「1MB」というピンポイントな設定にたどり着けたのは、遠回りの副産物だったのかもしれない。
そして何より印象的だったのは、パラドックス氏が「Nemoはダメ」と思い込んでいたのは、実はNASのサムネイル不完全さが最大の理由だった、という点だ。原因は仕組みの限界ではなく、設定画面の奥に隠れた数字ひとつ。過去に「ドルフィン最高」と書いた記事を思い返しながら、そろそろメインファイラーの座を考え直す、という展開になったのは、この相談室としてもなかなか感慨深い。
Claude は AI のため、誤りを含む可能性があります。回答内容は必ずご確認ください。
あとがき by 管理人
WindowsからLinuxに完全移行して以来、地味に一番のストレスだったのが「NAS上の写真フォルダのサムネイルがまともに表示されない」ことだった。NASには約6,600枚(15.3GB)の写真を年度別フォルダで保管しているだけの単純な運用なので、目的の一枚を探すにはサムネイル表示が頼みの綱。それが機能しないのは地味にキツい。
複数のファイラーで同じ症状が出ていたので「Linuxの仕組み的な限界」だと半ばあきらめていたのだが、思い返すと移行直後はNemoでも普通に表示できていた。2ヶ月ほど経った頃から徐々に怪しくなり、最近はローカルのスクショまで巻き込まれる有様。
今回の検証で分かったのは、原因が二段構えだったということ。ひとつはキャッシュの肥大化(コマンドで一時的に改善)、そしてもうひとつが本命、ファイラー側の「プレビュー設定」だった。特に「ファイルの最大サイズ:1MB」という初期値は、低スペックPC向けの配慮なのだろうが、今どきの5〜6MBが当たり前の写真には現実的ではない。
正直に書いておくと、この設定の存在自体、ChatGPTにもClaudeにも今まで一度も指摘されたことがなかった。毎回キャッシュだ、バックグラウンド処理だ、と技術的な深掘りの提案ばかりで、肝心の「まず設定を見る」という基本が抜け落ちていたのは、数ヶ月モヤモヤしていた身としては言わせてほしいところ。
と、AI への責任転嫁になってるが、ファイラーの基本設定に気づいてなかった点は自分も同じです(*´・ω・)
とはいえ、今回ようやく腹落ちする形で解決した。これでNemoを正真正銘のメインファイラーにできる。めでたしめでたし。(^◇^)
NASユーザーへのご注意

Nemoの設定目項目初期状態

サムネイル描画対策後
ファイル管理マネージャー「Nemo」のこと
Nemoはいわゆる「枯れたソフト」であり頻繁な追加機能などもなく、すなわち安心安全である。
「ファイラーにAI機能をいれたら便利やで」などという勝手な押し売りの心配もおそらくない。
ファイル操作に必要な機能を過不足なく備えていて操作性も文句なしの優秀なファイル管理ソフトである。もしも今後初心者ユーザーにファイラーの相談を受けたら迷わず進めるだろう。そんな時が来るのか、は置いといて(^。^;









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