東大寺 2017 その2

地元民というのに、何となく写真を撮って帰って来るというのも芸がなさ過ぎだし、たまには俄(にわか)仕込みのうんちくも少し。
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大仏殿の手前にある”鏡池”。時期が時期なら水面には美しい紅葉が映えるのだが、今はまだこんな状態。
ところで、設営中の舞台だが、これは年中行事として10月15日に行われる「大仏さま秋の祭り」で使用される能舞台なのだ。
10月15日という日は、東大寺を建立した聖武天皇が「盧遮那仏造顕(ぞうけん)の詔」を出された日にちなむとされている。
知ってるはずなのに思い出せない、読めそうで読めない”詔”の読みは「みことのり」。( ´ー`)
その日は華麗な飾り付けがされているはずだし、今年は日曜日。さぞかし大賑わいになるのだろうな。じゃなくて行かなきゃ。(;`ー´)
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華厳宗大本山の「東大寺」の表玄関である日本最大の威容を誇る”南大門”は今回はスルー。
その”南大門”から通じる大仏殿の玄関口である”中門”までは石畳が敷きめられており、人々と鹿との交流も随所にみられる。
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“中門”といっても十二分に威風堂々である。ここをくぐればすぐに大仏殿にたどり着けるのだが、その門は閉ざされていて、参拝者・観光客は左手に回って外壁に沿って進む事になる。すぐですがね。
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回廊の端が拝観受け付けになっている。唯一有料である大仏殿の参拝料は 500円と、とっても良心的。( ´ー`)
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全幅57mで「世界最大級の木造建築物」とされる”大仏殿(金堂)”だが、平安時代と戦国時代の二度に渡って消失していて、現在のものは江戸時代に再建された三代目なのだそうだ。コストとの兼ね合いか、全体のサイズも三分の二程度に縮小されているらしい。
ま、そんな事知らずとも 1200年前の由緒ある建物と思っていても別にバチは当たらないだろう。( ´ー`)
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50歳そこそこで崩御した聖武天皇は悲運を絵に書いたような生涯であったようだ。そしてそれは度重なる天災や飢饉などで苦しんだ民衆も同様で、それらを克服するため大仏建立を決意したそうである。
何しろ、7歳で父と死別し母も同時期から重病にかかり37歳まで会うことすら出来ず、身内の権力争いのごたごたで即位したのが遅れに遅れて実に24歳。前天皇の文武天皇の第一子であったにも関わらずである。その上、せっかく授かった第一子を 1歳の誕生日を待たずに失っている。この時に追悼のため作った「山房」が東大寺の前身となったそうである。
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即位して天皇となってからも、度重なる政変や干ばつ・飢饉・凶作・大地震に疫病蔓延など、とても貴族の頂点としてのほほんとした生活を送る事は出来なかっただろう。そして、政変の最たるものが教科書にも出てくる「長屋王の変」の悲劇。
自宅のとなり町に「長屋王の墓」があるので、特に馴染み深い事件ではある。( ´ー`)
しかし、終わりなき悲運に見舞われる中で「神も仏もあるもんか !!」と自堕落になる事もなく、34歳の時から万物平等を唱える仏教に傾倒し、天災や凶作に苦しむ民衆に対して「責めはわれ一人にあり」と”詔”に記された。何と崇高で強靭な精神の持ち主だったのだろうか。
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「人も動物も植物も、生きとし生けるものすべてが繁栄するように」との願いから「盧遮那仏造顕の詔」は、743年に発令されたが、この時も天皇の財力だけではなく広く民衆の協力を呼びかけ、これに呼応した人々の働きによって 752年に「大仏開眼供養会」をもってついに完成。
この四年後に、聖武天皇は崩御されている。合掌・・・(。-∧-。)
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その造形美に思わずため息がもれるほどの、見事な建築技術。
大仏殿は、その名も”大仏様(よう)”と呼ばれる中国伝来の建築方法で作り上げられている。クギなどの金物を使わず、木材のクサビのみで柱や梁などを固定しているだけ。このためにサビなどの劣化と無縁でいられるのだろう。
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一般観光客とともに、カメラ小僧にとって実にありがたいのがこの注意書き。”三脚禁止”という事は、左側にちゃんと書かれているように、手持ちなら撮影制限なしを意味する。国宝級文化財の内部はほとんどが撮影禁止なので、東大寺の太っ腹には敬意を表さねばならないな。
もちろん、他の参拝者の邪魔にならないようマナーを守って、というのは当然ですが。( ´ー`)

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